福山商工会議所青年部 平成28年度所信 会長 宇根智久

平成28年度福山商工会議所青年部基本方針

スローガン「清く、正しく、美しく」

YEG_hyoushi

【はじめに】

「清く、正しく、美しく」 皆さんご存知の通り、宝塚音楽学校のモットーです。今の時代を生きる青年経済人の一人として、経営者にこそ、「清く、正しく、美しく」あることが求められていると考えます。昨年度だけを見ても、排ガス不正、杭基礎の施工不良、利益の水増しなど、多くの企業の不祥事がメディアに取り上げられています。

経営者として「清く、正しく」なければならないことは容易に理解できると思いますが、「美しく」とは、どうあることでしょう。礼節や規律、あるいは志、信念といった言葉を思い浮かべる人もいることでしょう。私は「美とは『優れたバランス感覚』である」と考えます。事業を実施することは、とても大切な事ですが、私たち福山YEGにとって、事業が全てではありません。事業を通じて地域の活性化を図ることもできますが、会員企業の発展によっても、福山のまちは元気になります。

福山商工会議所青年部の会員に対し、多くの人が「YEGでしっかりと勉強して、将来、立派な経営者となり、福山の発展に貢献してくれよな!」と期待していることを忘れてはなりません。誤解を恐れずに述べますが、福山YEGでの活動が、仕事や家庭よりも優先することはありえないと考えます。仕事が順調で、家庭も安定してこそ、YEG活動に時間を費やすこともできるのです。

福山YEGの目的である「親睦」と「研鑚」のバランスのとれた会の運営に努めることが、平成28年度会長である私に課せられた使命であることを自覚し、責任ある決断を下してまいります。

 

【一生涯の友を見つけよう】

10年、20年先も、多くの会員は福山で商売を続けていくことでしょう。数えきれないほどの困難に直面し、会社の中では誰にも相談することができず、一人で悩む・・・。皆さんもすでに経験していることだと思います。このような辛く厳しい時にこそ、相談のできる経営者仲間が必要です。幸いにも、福山YEGには150名近い会員が在籍しています。悩みの多くは、誰かに相談すれば解決できるはずです。しかし、会員同士が「知っている」、「話はできる」という関係から「何でも相談できる」という関係に進むためには、ある程度の時間を共有することが必要です。

福山YEGには全会員、そしてOB会員が参加する懇親会が年に3回があります。この親睦の機会は、福山YEGの全ての取り組みの中でも、非常に重要な事業であると感じています。会員が参加してみたくなる懇親会を設営することにより、「知っている」から「何でも相談できる」関係に発展するよう、努めてまいります。

また、各事業だけではなく、皆さんが属する「委員会」も一生涯の友を見つける絶好の機会です。各委員会の長には、担当する事業を遂行することと併せ、委員会内の親睦についても真剣に考え、行動することが求められます。交流事業以外の場所でも、「会員相互の親睦」を常に意識しましょう。

 

【YEGの活動の中心は若き経営者の勉強の場】

世の中には様々な仕事があり、商工会議所では14の業種に分類されています。福山YEG会員の企業も、この14業種のどれかに属していますが、業種によって、あるいは企業規模によっても抱えている問題は異なります。

私たちは経営者としての資質向上を目的として、セミナーや講師例会を開催しますが、どの業種にも、また、どの規模の会社にも役に立つ内容とすることは非常に難しいことであると感じています。例えば、工場で高度に管理された環境のもと、商品を製造する場合と、現地において一つひとつの製品を仕上げていく場合とでは、品質管理の手法も異なります。また、創業以来、長い歴史を有し、盤石の財務内容を築いている企業と、創業したばかりで資金力に余裕がない企業とでは、「いま知りたいこと、勉強したいこと」はきっと異なることでしょう。

平成28年度も会員の皆さんに研鑚していただく機会がありますが、業種や企業規模に関わらず、「役に立ちそう」と感じてもらえる事業内容とすることに、努力してまいります。

 

【出会い・学びのチャンスを活かそう】

私たちは全国大会をはじめ、いくつかの大会に参加する機会を有しています。現在、福山YEGでは役員、担当委員会を中心に20名~30名程度の希望者が各大会に参加していますが、「大会は宝の山」であると感じています。

分科会や講演会に出席すれば、何かしらの気付きや学びがあります。会員同士、共に過ごす時間は、まさに「親睦」の機会です。また、大会全体を通して人との出会いがあり、上手に仕事に結び付けている会員もいます。

福山YEG会員の皆さん、「食わず嫌い」にならず、時間が許すのであれば、各大会に参加してみませんか。きっと、「参加して良かった」と感じてもらえるはずです。遠く離れた地で開催される大会に参加することは難しいかもしれませんが、広島県内や隣県で開催される大会もあります。YEGの会員に与えられた「出会い・学びのチャンス」を十分に活かし、各企業の発展に繋げましょう。

 

【新しい文化を創造しよう】

福山には1年の間にいくつかの「イベント」があります。春には「ばら祭」、夏には「夏祭り」があります。その他にも各団体や実行委員会が主催者となり、地域の活性化に繋げるべく、事業を開催しています。

以前より「福山には秋、冬のイベントがない」と言われていますが、福山YEGでは創立5周年記念事業として、「ライトアップ事業」に取り組んでいます。この事業は「初年度から福山YEG単独での開催は難しいであろう」ということで、「街の灯り活性化プロジェクト」の実行委員会の一員となり、昨年度、福山YEGとしては2回目の「LUXEATERふくやま」をやり遂げました。

本年度も、この事業に参画いたしますが、私たちは創立5周年記念事業として始まったこの事業の最初の議論を忘れてはなりません。「福山YEG単独での事業を」と当時の役員は願いながらも、予算の関係もあり、すぐには難しいと判断し、現在の形になっています。どのようにすれば福山YEG単独でライトアップ事業を開催することができるかを、しっかりと考えながら地域活性化の事業を進めてまいります。

 

【商工会議所らしい次世代育成に取り組もう】

私たちは昨年度、新たな取り組みとして「ジュニアエコノミーカレッジ」を開催しました。この事業は小学生を対象とした「商売体験を通して、『自ら決めて行動できる人材の育成』プログラム」です。人材育成の手法は無限にありますが、私たちは商工会議所青年部です。「ジュニアエコノミーカレッジ」は、経営幹部の集まりである福山YEGが主催するに相応しい事業であると考えます。

疑似体験ではありますが株式会社を設立し、商売体験を通して「意見をまとめる」、「与えられた役割を全うする」、そして、あらゆる場面で「決断する」経験は、将来、経営者になるか否かに関わらず、子どもにとって大きな財産となるはずです。また、運営に携わる会員や保護者、そして販売実践時に力を借りる地域の方も、子どもと過ごす時間を通して多くのことに気付かされることでしょう。

各地のYEGが取り組んでいる「ジュニアエコノミーカレッジ」を福山の地においても引き続き開催することにより、地域に貢献してまいります。

 

【福山YEGの魅力を発信しよう】

昨年度、新しい委員会として広報委員会が設置されました。福山YEGの活動を発信することのできるパンフレットは、様々な場面で大いに活躍しました。また、各委員会の取り組み情報を会員が知ることのできる機会を創り出したことは大きな成果であると考えます。「自分だけが苦しい思いをしているのではない、みんな頑張っているんだ。よし、自分も頑張ろう」。そう勇気づけられることは、組織として大きな力となります。

平成28年度も引き続き広報委員会を設置し、福山YEGの取り組みを組織の内外に発信してまいります。特に商工ふくやまに掲載される「YEGだより」は、私たちの取り組みを多くの人に知っていただける良い機会でありますが、創立以来、記載内容に大きな変化は見られません。もちろん、今のままではいけないということではありませんし、所属していない方に会の魅力を伝えることは容易なことではありませんが、福山YEGの素晴らしさがより伝わる内容とすることができるよう、検討を進めてまいります。

 

【洗練された運営を目指そう】

福山YEGには全会員が集う場として、総会、例会があります。例会における例会行事は別として、形式的なセレモニーの部分については誰が運営しても同じような成果が得られそうなものですが、実際はどうでしょう。取り組む姿勢、準備に費やす時間によって、良し悪しは必ずあります。「些事に神が宿る」と言いますが、細部の良し悪しが全体の完成度に繋がることを私たちは知っています。「やる時は、きちんとやろう」という姿勢で、会員に安心して参加してもらえる総会、例会を目指しましょう。

また、毎月一回開催される役員会も同様であると考えます。各委員長が上程する議案も、作成に時間を費やすほど精度は高まり、結果として会議時間の短縮にもつながります。役員会において議論することは大切なことですが、準備不足による紛糾は、等しく望むところではありません。会長をはじめとする役員は、会員から福山YEGの運営を託されていることを忘れずに、各会議に臨みましょう。

 

【結びに】

宝塚音楽学校の前身である宝塚唱歌隊を設立した故・小林一三氏は「朗らかに、清く、正しく、美しく」という言葉を遺しました。これは唱歌隊の生徒だけに残した言葉ではなく、経営者として、また人としての長い人生を振り返り、すべてに人に向けて発信されたメッセージであると感じています。「朗らか」とは、「心にこだわりがなく、晴れ晴れとして明るいさま」のことですが、私たちは日々の生活において、様々な困難に直面し、なかなか「朗らか」な気持ちになる時間はありません。

しかし、元気に明るく生きている様は、周りの人にも伝播していくものと私は信じています。経営者として「清く、正しく、美しく」また、福山で生活する一人の人間として福山YEG会員が「朗らかに」過ごすことができるよう、一年間取り組んでまいりましょう。

 

平成28年度福山商工会議所青年部会長 宇根智久